政府も企業の協力なしには立ちゆかない。

人を遠ざけ、知人にだけ心を開いた朴槿恵前大統領を反面教師に、文氏はコミュニケーションを重視する。
大統領が一方的に指示するだけだった青瓦台の会議でも異論を唱えるのは義務だと語り、自由闊達な議論を促した。
だからこそ、財界を突き放すような文氏の姿勢は際だった。
経総は慌ててあくまでも副会長の個人的な見解と釈明。
予定していた非正規職の誤解と真実と題した冊子の発行を中止した。
沈黙は金とばかりに企業は一切の政府批判を控えている。
むしろ政権の労働政策に沿った施策を競うように発表し、忠誠 合戦の様相だ。
通信大手のSKブロードバンドは5月23日、インターネットの設置作業を委託してきた外注企業の従業員約5200人を新設する子会社の正規職にすると発表した。
103社ある外注先のうち、約8割が新会社に参画するという。
だが、内心は不満が渦巻く。
ある製造業大手の幹部は当社には非正規職はほとんどいない。
問題は協力会社の従業員までが、当社の非正規職とみなされることだと頭を抱える。
ただ、政府も企業の協力なしには立ちゆかない。
それが浮き彫りになったのが米韓首脳会談だ。
政府は財界に同行を要請。四大財閥をはじめ、ポスコやKTなど韓国を代表するグローバル企業の首脳が応じる方向だ。
新政権は発足からひと月たつが、まだ外相も決まっていない。
体制が整わない中、北朝鮮の核問題や米軍による地上配備型ミサイル迎撃システムの韓国配備、米韓自由貿易協定再交渉など難題を扱うことになる。
外交面で大きな前進が見込みにくい中、大きな役割を果たしそうなのが韓国企業による米国へのお土産だ。
サムスン電子とLG電子は米国での家電工場建設を表明。